ごあいさつ 代表取締役 井筒 與兵衛

心象~いつまでも、心に残るかたち。

お宮参りや七五三をはじめ、人にはこの世に生を受けてから死ぬまでの間に、体験する儀礼がいくつかあります。
成人式、結婚式、告別式・葬式・・・人それぞれに形式は異なっても、人が社会のなかで自分がいま立つ位置を知り、他人との結びつきをあらためて確認する場として、通過儀礼は人のこころに生涯忘れられない思い出を刻み込んでゆきます。
そして、そんな儀礼の数々を人のこころに鮮やかに印象づけているもののひとつが、神殿や仏閣の厳粛な雰囲気であったり、読経をあげる僧侶たちの荘重な姿であったりするのかもしれません。だからこそ井筒は、自らの事業のひとつひとつが人のこころと深く関わっていることを忘れはしません。また、自らの日頃の業務のひとつひとつを大切に思ってもいるのです。
宗教関係用品の専門商社である井筒の業務基盤は、大正時代から始まったカタログ通信販売にあります。法衣・装束・授与品の各営業部が扱う商品を網羅したカタログは、数種類、それぞれ年に1~数回の発行。総発行部数は年間10万部以上に及びます。
各カタログ掲載の既製品も、元々、オートクチュールであったものが納期短縮の為、前もって用意をすることが始まりです。井筒の基本商品である神職や僧侶の装束、神具・仏具、調度品などは、ほとんどのものが井筒独自の意匠の商品です。一般によく見られる例としては、社寺への参拝者に人気の高い絵馬やお守りがあります。定番のデザインとしてご紹介しているレギュラーの絵柄に加えて、新しい趣きを持ったデザイン・絵柄の商品も毎年発表していて、お得意先からもご好評をいただいています。
また、カタログに掲載されていない商品を、カスタムメイドで受注するシステムも完備しています。衣裳や調度品について特別なディテールを考えている、決められた予算の枠内でできるだけいいものをこしらえてほしい。そんなご要望を持たれたお客さまに対しては、商品知識も豊富な営業スタッフが要望のヒアリングから制作の発注・管理、納品までを一貫して担当。京都を中心に全国のお客さまときめ細かな対応、厳しい品質管理と納期厳守の生産体制で、お得意さまのご要望にお応えできる商品をご提供しています。
カスタムメイドで制作される商品や井筒オリジナル商品は、その企画・デザインを制作室・美術室に勤務するスタッフがサポートします。商品は新調されるものと復元されるものに大きく分けられますが、どちらもお守りのような小さなものから山車(だし)や打敷のような大きなものまで、品種もサイズも実に多彩です。
新調されるものの場合、細かな決まりごとを守りながら、お得意先の潜在するニーズをいかに反映していくか、現代の商品としてのメリットをどう活かすかが、企画・デザインのポイントになります。そこで美術スタッフは営業スタッフとともに、日頃からさまざまな資料に触れ、素材や柄などのアイデアをストックすることに務めています。日頃から資料に触れておくことは、オリジナル商品考える場合だけでなく、昔の色柄を再現するためにかなりの手間を要する復元商品を取り扱う場合にも、大変役に立つのです。
商社でありながら、工場・制作室・美術室を持ち商品づくりに積極的にかかわる井筒の営業の基本精神は「お得意先によろこんで頂こう」「伝統の感性を守り、時代を切り開く心で、魅力的な商品を提供したい」ということに尽きます。
お得意先自身が気づかれていない真の隠されたニーズにお応えするためには、自らが開発したいま目の前にある商品がベストであると思ってはいません。つねにデザインの可能性を求め、伝統におおいなる敬意を持ち、時代を反映した商品をつくり続けることが大切だ思っています。
井筒のスタッフには「絵心」が求められます。それは絵を描く技術ではなく絵やデザインを理解することとも言えましょう。実際に井筒のスタッフは広い意味でのデザインマインドを持つ事の必要性を痛切に認識しています。
こうした業務への関わりのひとつひとつは、今という時代を生きるお得意先、つまり宗教界を中心とする各界と、そこに携わる方々にもっと大きなご満足をお届けすることになると思います。
そして、さまざまな儀礼の場で、それぞれの思い出を紡ぎ出そうとする人々のこころにも、いつまでも忘れられないかたちとなって残るものと考えています。